脳・脊髄の治療と脳ドック

 

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正常圧水頭症

正常圧水頭症とは

正常圧水頭症は通常60歳以上の高齢者の運動機能障害をきたす疾患で、いまなお多くの潜在的な患者さんが存在します。 シャント手術と言う比較的低侵襲な治療で対応できます。発見が遅れ下肢の筋力低下が進行し廃用が進むと治療困難になります。

正常圧水頭症の症状
  • 歩行障害
  • 活動性の低下や失禁
  • 物忘れや判断力低下など認知症に似た症状
ここ数ヶ月間でこのような症状が出てきたなどあれば考えるべき疾患です。 どちらかというと運動障害が主な症状になります。鑑別には脊髄疾患(頸部脊椎管狭窄症)やパーキンソン病など挙げられます。
正常圧水頭症の診断

CTまたはMRIを施行し、脳室拡大やDESH サインと呼ばれる脳溝の拡大と帯状回の隙間が詰まっている画像所見があれば考慮すべき疾患です。
画像で疑われる場合は、髄液タップテストを行います。検査は入院で4日間必要です。 まずはリハビリで、歩行や運動の評価(TUG)、知能テスト(MMSE)を実施します。 次に、腰椎穿刺を行い髄液30cc程度採取します。2時間、24時間、48時間後にどう改善したかを評価します。
TUGは座った状態で3m離れたところまで歩いて戻りまた座る動作を行い、時間を計測します。髄液を採取した後、10%以上の時間の短縮がみられ、MMSEが3点以上回復すればシャント手術で症状が改善する可能性が高くなります。 また、髄液採取後に1週間程度帰宅後も効果が持続し歩行が改善するも、2-4週間で悪化し元の状態に戻ればよりシャント手術で改善する可能性が高くなります。 歩行ができる状態が長く維持できれば特に高齢者にとっては廃用も防止でき、良好な日常の活動能力が期待できます。 1回の髄液タップテストで陽性出なくても繰り返し行うと陽性になることがあります。また持続的に数日脊髄ドレナージを行うと初めて陽性と判定されることもあります。

治療方法

手術は全身麻酔で行います。 LPシャントとVPシャントの2通りの方法があります。脳室内に貯留する髄液を腹腔内に一部流し、腹膜で髄液を吸収させる手術です。

LPシャント手術
最もよく用いられる方法です。腰椎から穿刺針で脊髄内に細いチューブを挿入し、皮下にチューブを通して腹腔側に髄液を流すようにします。途中に圧を調整するバルブを置きます。
合併症として、末梢神経障害、感染、シャントが閉塞するなど少数ながらあり得ます。
VPシャント手術
脳室と腹腔内をチューブで繋ぐ方法です。もっとも確実に髄液を腹腔で吸収できます。合併症としては、出血、感染など少数ながらあり、きたすとLPシャントより重篤になりやすい傾向にあります。

正常圧水頭症が疑われる時はまずは髄液タップテストを受けるのを推奨します。
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