頚動脈狭窄症
脳に向かう血管の中で、特に内頚動脈は脳の大半を栄養する重要な血管ですが、その根元(起始部)は動脈硬化によって血管の中が狭くなりやすい場所です。このように 頚動脈の内腔が狭くなった状態のことを「頚動脈狭窄」と呼び、脳梗塞の重要な原因となります。
脳梗塞が起こる原因として、狭窄を起こしている動脈硬化の塊(プラークと呼びます)から剥がれた血栓が脳の血管に飛んでいくという機序と、狭窄の程度が強くなって脳に向かう血流が少なくなり、血流が最も届きにくいところが脳梗塞になるという機序の両者が考えられています。この 頚動脈狭窄症は、脳梗塞が起こるまでは無症状であることがほとんどですので、特に動脈硬化のリスク因子をお持ちの方は、一度は頸動脈を超音波やMRI検査でチェックしておくことをお勧めします。 頚動脈狭窄症の治療は以下の通りです。
1)内科的治療
まずは、動脈硬化のリスク因子(高血圧症、糖尿病、脂質異常症、喫煙など)をしっかり管理することで、狭窄の進行を防いだり、プラークを安定化させることが重要です。狭窄の程度にもよりますが、脳梗塞を起こすリスクの高い方、また全身の血管(心臓や足の血管など)にも動脈硬化性の病変がある方は、抗血小板剤(血をサラサラにする薬)の服用をお勧めします。
2)手術治療
症候性頚動脈狭窄症では、狭窄率が50%を超えた場合、内服薬による内科的治療に加えて外科手術(頚動脈内膜剥離術:CEA)を行う方が、内科的治療のみの場合より脳梗塞再発予防効果が優れているとされています。また、無症候性頚動脈狭窄症でも、狭窄率が60%以上の場合、内服薬による内科的治療に加えて外科手術(頚動脈内膜剥離術)を行う方が、やはり脳梗塞予防効果が優れているとされています。また、近年では血管内手術(頚動脈ステント留置術:CAS)も外科手術(頚動脈内膜剥離術:CEA)と同様に効果的であるとされています。
①頚動脈内膜剥離術
②頚動脈ステント留置術(血管内治療)
これらの治療法の中から、患者さんの状態、病変の特徴などから最も適した治療方法を選択します。