脳・脊髄の治療と脳ドック

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脳腫瘍

脳腫瘍について

脳腫瘍といわれたら

脳腫瘍はその組織学的特徴から約150種類にも分類されており、それぞれ治療方針が異なります。CTやMRIなどの画像診断である程度は診断可能ですが、正確な治療のためには手術によって腫瘍を摘出し病理診断を行うことが必要です。しかし、すべての腫瘍に対してすぐに手術が必要というわけではありません。実際に手術を行うかは、患者さんの年齢・体力や他の病気の有無など様々な状況を考慮し、さらにはお仕事やご家庭の事情などにも合わせた治療方法を計画していきます。

当院では体への負担が軽い内視鏡手術も積極的に行っています。
(低侵襲内視鏡手術センター)

  • 無症候性脳腫瘍(脳腫瘍が原因の症状がない)と症候性脳腫瘍(脳腫瘍が原因の症状がある)

脳腫瘍が見つかった場合、まずこれらの方法で分類を行い、基本的治療方針を決定することになります。

代表的な脳腫瘍

1)髄膜腫
女性に多い腫瘍です。多くは良性腫瘍ですが、病理組織的に悪性の場合、または良性であっても悪性の経過をとる場合もあります。原則的に開頭手術による摘出を行いますが、無症候性の場合は、増大速度を判断する目的で定期的にCTやMRIを撮影する「経過観察」を行うことが基本です。無症候でも視神経を圧排し始めていたり、聴神経や顔面神経などの重要な神経に接しており大きくなってからでは治療が難しい場合は、予防的に手術もしくは放射線治療を行うことがあります。当院では、一部の髄膜種に対しては開頭手術を行わず鼻を経由して内視鏡下で摘出する方法も行っています。
《左手の震えで発症した髄膜種の患者さんです。》

腫瘍は合併症なく、全部摘出されました。
(ご本人の承諾を得て掲載しています。)
2)下垂体部腫瘍
下垂体部には下垂体腺腫、ラトケ嚢胞、頭蓋咽頭腫などの腫瘍が発生します。これらの腫瘍は大きくなると視神経を圧迫して視力や視野障害を起こしたり、ホルモン分泌異常の症状を出すことが多く、また大きくなると手術での摘出が困難になるため、無症状でも手術が勧められることがあります。手術は、鼻を経由して内視鏡下で行う方法が有効です。一方でホルモンを過剰に分泌するタイプの下垂体腺腫では、お薬による治療も有効です。
《複視(物が二重に見える症状)で発症した下垂体腺腫の患者さんです。》

経鼻内視鏡下手術で腫瘍は全部摘出され、目の症状は消失しました。
(ご本人の承諾を得て掲載しています。)
3)聴神経鞘腫
耳の神経(聴神経)から発生する腫瘍です。片方の耳が聞こえにくくなったり、体のふらつきで発症することが多いです。はじめは耳鼻科を受診されることが多いのですが、ある程度の大きさになるまで診断が難しいことが多いです。小さい腫瘍では見つかっても経過観察することも妥当ですが、ある程度の大きさ以上になると治療が勧められます。小型の腫瘍では、手術をしても聴力を残せる可能性がありますが、大きくなると聴力を残すことは難しくなります。また大きくなると手術後に顔面神経麻痺により顔がゆがむ可能性がでてきます。
《右の聴力低下で発症した聴神経鞘腫の患者さんです。》

腫瘍は全部摘出され、聴力も手術前と変わりませんでした。
(ご本人の承諾を得て掲載しています。)
4)神経膠腫(グリオーマ)
WHO(世界保険機構)が主に悪性度によりグレード1から4までに分類しています。良性腫瘍であるグレード1に当たる腫瘍は多くありません。グレード2は病理学的には良性腫瘍に分類されますが、腫瘍が重要な脳組織に及んでいることが多いため全摘出は困難で、再発しやすい腫瘍です。また再発を繰り返した場合や、無症候性であるため経過観察をしている過程で悪性へ変化(悪性転化)してしまう場合もあります。グレード3と4が悪性腫瘍に相当しますが、グレード4の多くは「膠芽腫」と言い、他の臓器のがんを含めたすべてのがんの中で最も治療が困難とされている腫瘍の一つです。悪性神経膠腫の治療には手術、化学療法、放射線療法を組み合わせる必要があります。また新しい薬や治療法が徐々に開発されつつあり、いくつかの臨床試験も行われています。
《右顔面神経麻痺に対する検査中に診断された神経膠腫の患者さんです。》

腫瘍は全部摘出され、放射線や化学療法を行わずに外来通院中です。
(ご本人の承諾を得て掲載しています。)
関連リンク(外部)
  1. Neuroinfo Japan(脳神経外科疾患情報ページ):
    http://square.umin.ac.jp/neuroinf/medical/index.html
  2. 国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報サービス
    http://ganjoho.jp/public/cancer/index.html
  3. 脳卒中治療ガイドライン
    https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2015_tuiho2019_10.pdf
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